実際には取締役などの変更がなくても、任期毎に役員変更登記をする必要があります。
役員の任期は、取締役が選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結のときまで、 監査役が選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結のときまでと法定されています。
ただし、定款を変更して任期を10年以内に伸長することもできます。
会社の機関設計などにより異なりますので、ご相談ください。
株主1名の、いわゆる1人会社であっても、1年に1回以上、必ず株主総会を開催しなければなりません。
なぜなら、株主総会は株式会社にとって、会社の基本的事項についての意思を決定する大切な機関だからです。会社は、各事業年度の終了の日から2~3ヶ月以内に、確定した決算に基づいて法人税の申告をする必要があり、この決算を確定させるためには、定時株主総会において計算書類(貸借対照表、損益計算書、利益処分案または損失処理案)が議決承認されなければなりません。
また、取締役および監査役も必要に応じて株主総会で選任されることになります。
1人会社の株主総会は、会社法で定められた招集手続がなくても、その1人の株主が出席すれば成立するものとされていますので、必ず開催するようにしましょう。
また、開催内容を明確にするため株主総会議事録を作成し、会社に備え置くことも義務づけられています。
DESを行うのには、会計処理、税務処理などの問題も生じてきますので、税理士さんと打ち合わせをしていただく必要があります。
取締役会を設置していれば、重要事項の決定は取締役会が行いますが、取締役会を設置していなければ、株主総会を開催し、その決議によらなければなりません。
同族会社で株主が少ない場合(例えば、社長と妻の2名の場合)は、いつでも重要事項を決定する株主総会を開催することができますので、取締役会は必要ないと考えられます。
しかし、同族会社でも株主の数が多い場合、株主が遠方に住んでいるような場合には、株主総会を容易に開催することはできませんので、取締役会設置会社にしておいた方が会社運営上好ましいといえます。
増資をするにあたり、金銭ではなく金銭債権をもって出資することも認められています。
金銭債務を株式化することをデット・エクイティ・スワップ(以下「DES」といいます。)といいますが、会社法の施行によって、このDESが簡便に行えるようになりました。
貸借対照表の負債が減少し、その分資本が増加しますので、貸借対照表の見栄えは改善されますし、貸付金と違って、株式ならば返済する必要がありません。
DESを行うのには、会計処理、税務処理などの問題も生じてきますので、税理士さんと打ち合わせをしていただく必要があります。
定款とは、実質的には会社の組織及び活動を定める根本規則であり、形式的にはそれら根本規則を記載した書面のことです。
現在存続している有限会社は、会社法施行前に設立された会社で、会社法の規定の適用を受けている株式会社です。(特例有限会社といいます。)
商号には有限会社の文字を用い、従前の有限会社に類似した制度の適用を受ける以外は、通常の株式会社と変わりありません。株式会社の文字を用いる場合には、定款変更(商号変更)をして登記をする必要があります。
通常の株式会社とするか、特例有限会社のままとするかは、会社の機関設計などを考慮して決定することになります。
特例有限会社の会社法におけるメリット・デメリットとして、以下の事があります。
メリット
(1)役員の法定任期がない
(2)決算公告の義務がない
デメリット
(1)会社の実情に合わせた機関設計ができない (取締役会・監査役会・会計監査人・委員会・会計参与は設置不可)
(2)株式会社の譲渡制限を解除し、公開会社とすることができない
(3)株式会社の特別決議を要する事項については、賛成決議の要件が加重されている
(4)特例有限会社同士、または特例有限会社を存続会社および事業承継会社とする吸収合併及び吸収分割ができない
(5)株式交換や株式移転ができない
定款とは、実質的には会社の組織及び活動を定める根本規則であり、形式的にはそれら根本規則を記載した書面のことです。
会社の意思によって根本規則を定め、書面に記載するものですから、官庁などから再発行してもらうものではありません。それではどうしたらよいのでしょうか?
(1) 公証役場で請求する方法
株式会社の場合、会社設立時には必ず発起人が定款(原始定款)を作成して、本店所在地を管轄する(地方)法務局所属の公証役場で認証を受けることにより、定款の効力が発生します。
したがって、認証を受けた公証役場で原始定款の謄本を交付請求することができます。ただし、認証後20年を超えるものについては保存していないこともありますので、事前に公証役場に問い合わせてください。 認証を受けた公証役場が不明の場合は、設立登記をした法務局が定款など設立登記の添付書類を一定期間保管していますので、会社役員などの利害関係人が、閲覧請求して公証役場を確認することができます。
(2) 再作成する方法
公証役場で手に入らない場合や設立後に定款の内容に変更が生じている場合は、定款を再作成する必要があります。
定款の記載事項には、登記事項と登記されない事項があります。まず、法務局で最新の登記事項全部証明書を請求し、登記された定款の記載事項を確認し、その他の事項については、過去の株主総会議事録や社員総会の議事録を調査してください。
それでも不明な部分がある場合には、株主総会または社員総会の特別決議による承認を受けることにより、現在の会社の定款を自由に再作成することができます。
取締役は、「取締役会に出席して業務執行に関する意思決定に参加すること」や「代表取締役の業務執行を監督すること」などを怠って会社に対して損害を与えた場合の責任や、「取締役が会社の計算書類やその他の書類に事実と違うことを記載すること」あるいは「虚偽の登記をすること」などによって第三者に損害を与えた場合の責任を負わなければなりません。
「名前だけを借りた」取締役にこれらの責任を負わせるかどうかについて、取締役を引き受けた際の事情などが考慮されることもないわけではありませんが、基本的には名目だけであっても、取締役であれば責任を負わなければならない立場であるということを肝に銘じておかなければなりません。
これは取締役ばかりでなく、監査役であっても、その役職についての責任を問われることがあることを認識しておくべきです。